ぬるま湯の足湯のようなもの

記憶より確かな記録

映画「セッション」を観終え。

 

 

 

映画評論家の畠山権三と申します。

 

 

今回は2014年公開の「セッション」を観た感想を書いていこうと思います。

 

 

ネタバレ大盤振る舞いです

 

まず、第一に私はこの映画を良い映画とは思いません。

 

"素晴らしい映画"だと思っています。

 

 

この映画は主人公のアンドリューとフレッチャーの1対1の物語です。

 

なので猿でも分かります。

あぁコレが生徒でこのハゲが先生か と。

 

物語はアンドリューのドラムから始まります。陽気にチャカチャカしてるとフレッチャーがヌッと現れます。

 

フレッチャ「お前なかなかええやん、うちのバンドきな〜?」

倖田來未ばりに誘います。

 

アンドリュー「え〜!マジっすか!?俺っちが先生のバンドに〜?もう勝ち確じゃ〜ん」

とのこのこ付いていったが最後。

そこは地獄

 

このフレッチャーという先生。鬼と悪魔を足してかける2をしたような鬼教官。

指導というなの罵詈雑言。誹謗中傷。だからお前は親にも見捨てられるとダメ出しを喰らいます。

アンドリューも負けません。

ドラムに集中するため、かつてナンパした女を邪魔だと言い放つ有様。

手から血が出ても止まず、叩き続けます。

この狂気の指導と狂気の執念。

 

 

そしてなんやかんやあります。

(急にめんどくさくなった)

3行でまとめると

 

・アンドリュー、復讐の拳

フレッチャー、密告により無職

・ジャズバーで熱き再会、リベンジへ

の三本ですぅ!(タラちゃん)

 

 

 

再び迎える本番の舞台。

 

 

 

さぁ!という時にフレッチャーがドラムの前に来ます。

 

 

 

 

 

 

「密告したのはお前だ。」

 

 

フレッチャーは気づいていたのです。自分を売ったのがアンドリューということに。

 

私はここで食べてたポテチを握り「そりゃねえよ先生!!」と叫んでました。

 

 

フレッチャーはアンドリューに伝えたセトリとは違う曲を観客に宣言します。

 

 

即席のドラムは合わせようとすればするほどズレてきます。

 

もう見てられない。

 

 

 

フレッチャーの笑顔。

さあお帰りだ と言わんばかり。

 

アンドリューは舞台袖で待つ父のもとへ。

 

 

なんと、熱き抱擁を交わした後アンドリューは再びステージに歩き出します。

 

この構図は2度目なのです。

 

そう

 

あのフレッチャーをステージ上で殴ってしまったあの時と。

 

 

息を呑みます。

 

 

アンドリューはステージに向かうと、フレッチャーではなくドラムの前に再び座ります。

 

 

そして皆が動揺してる中、ドラムを叩き始めます。

 

なんの前触れもなくです。

 

 

指揮者であるフレッチャーなど目を向けず叩きます。

 

 

隣の管楽器から何やってるだ!と言われると「指示がきた!合図を出す!」と虚偽の報告。

 

フレッチャーではなくアンドリューが支配し始めます。

 

 

 

 

ここからなのです。この映画は。

 

 

 

 

 

フレッチャーが聴きはじめ、考えはじめ、指揮を執るのです。

 

アンドリューのドラムに。

 

 

 

 

そんな横暴を許したのです。

演奏で黙らせたのです。

 

 

ではなく演奏での暴力。

 

 

 

ここから次の曲へ キャラバン。

 

 

ここが良い。

 

 

フレッチャーが楽しんでいる。

演奏を、指揮を、音楽を。

 

 

アンドリューが楽しませている。

 

 

 

 

 

そしてそのフレッチャー、アンドリューのシンバルの位置がズレてしまった瞬間、直したのです。立て直したのです。

 

あのフレッチャーが

 

支えたのです、指揮者として、指導者として。

 

 

認めさせた。あの鬼を。

 

 

最後の最後で応えたのです。

 

 

 

 

そしてドラムは終幕に向かい、曲も終わりを告げ、すぐさまエンドロール。

 

 

 

潔い。

 

 

 

拍手、礼、後日談、そんなものはいらん。

 

 

 

 

もう2人が演奏を楽しんだ。

それでこの物語は全てだろうと。

 

 

 

 

 

良い。

 

 

 

 

良いぞ、セッション。

 

 

 

 

 

もっかい見ろって言われたら観ない。

畠山権三でした。誰やそれ。